NUアート倶楽部展
[スケッチ雑感]
日大の学生さんと行った関西研修旅行大徳寺の
「スケッチと茶への想い」を展示させていただきました。
2012.09~11号のコア東京誌の裏表紙「思い出のスケッチ」でも
掲載させて頂きました。
曲り木
大徳寺 高桐院 (細川家ゆかりの塔頭)
参道にも真行草があるようで松と切石の真の参道を曲るとスケッチの
森の風情、生垣で切り取られた苔と竹柵で演出された行の参道です。
緑パワーで豊かな気持ちにさせてくれる見事な景色ですが
「景色がなんてシンプルだろう」と不思議に思いました。
中木や高木の木々が生垣の外や中からニョキニョキと伸びていて
苔の庭に木が1本も生えてないことによるものかと拝察されました。
永年の枝づくりとその手法に感動した旅の思い出です。
光と影
大徳寺 真珠庵庭玉軒(飛騨高山城主金森宗和好み)
雪国生まれの宗和らしい雪への配慮から、外路地と共に
屋内路地を有する二重路地の設えが特長の茶室です。
茶庭の内路地の潜口からここに入ると暗さに驚きますが、
目がなれ、蹲踞の下地窓に歩いてきた外路地の景色が見え隠れし、
やわらかな暗さが心を落着かせ、薄明な茶室への期待が高まります。
一服の茶を喫むことへ光影に心眼を傾け茶室のみならず
内路地の巧みな光と影の工夫に敬服した旅の思い出です。
書院庭の一画を生垣で仕切り、茶庭を設け
茶庭とは躙口の手法を取り入れた障子下半分を吹放ち、
灯籠と手水鉢の蹲踞を配して、内外を一体化した
その空間構成で有名な茶室です。
点前座に座して、写真等で見たことのなかった風景に
「わあ この茶室の特等席」と思わず息を飲みました。
客座からは見えない書院本庭(琵琶湖に見立た赤土三和土)が
茶庭横に広がり、茶席が琵琶のうみへ出航する
船内風景を連想させるようでした。
西向きの悪条件を逆手に設計した席で、西日が赤土三和土と
手水鉢の水に照りつけ、水のゆらぎがキラキラと砂刷天井に
乱反射する光の中で、遠州は1人どんな茶碗で
茶をと勝手に色々妄想したひと時でした。
戦国乱世を生きた利休の「一期一会」と対比され、
戦乱が一段落した時代に生き「格より入って格より出る」と
伝統を踏まえつつ創作した遠州晩年の自身の為の茶室、
点前座からの景色に作者の意図は不明ですが
内外を一体化させた贅沢な空間に感銘した旅でした。